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ただ彼女は世間が言うような、いわゆる「塩」ではなかった。情に訴えれば情で返してくる、そんな面も少なからず彼女は持ち合わせていた。
「だったら、言うね。」
ぱりゅのサプライズ、それは私とぱりゅが神7に入ったら九期全員がその場に立ち上がって一斉に歌いはじめると言うもの。
「それでなくても今、選抜総選挙を疑問視する声が上がってる、そんな時に総監督の私がそんなことできるわけないやろ・・ぱりゅ」
「だから、やるんじゃない、ゆい」
そう言ってぱるるは、ここ数ヶ月見せたことのないような、とびっきりの笑顔を私に投げかけた。
「こんな時だからこそ、私たちは臆病になってはいけない、そうしなければ伝わるものもつたわんない。手足を思いっきり伸ばして歌えべばいい、思いっきり叫べばいいんだよ、ゆい」
ぱりゅはそう言った。
アキバの未来なんてこれっぽっちも考えていそうにもない、ぱりゅからの発言に私は言葉を失った。「あんたもおんなじなんや」そう囁きかけた私に、ぱりゅは何も言わず、新潟の夜空を見上げた。空には今まさに新月を迎えようとしている睦月の月が雲の間から顔を覗かせ始めていた。
私とは違うほうを向いていると思っていた白咲はるかはやっぱり私と同じ景色を見ようとしていたんだ。
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