第1章

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その直後、私も呼ばれる。 お昼のニュースが流れた時だった。 ロッカーで検査着に着替えて、荷物を預ける。 MRI室に案内される。 部屋の隅に大きな円筒がある。 しかも、わりと大きめで圧迫感はなさそう。 柔らかい耳栓みたいのをして寝台に横たわり、防具みたいなものを胴体に乗せられてバンザイしたまま今回も先に注射針を付けられる。 しかし、バンザイした腕と言うか肘が微妙に浮いていてちょっと辛い体勢。 「大丈夫ですね。検査を始めます。」 と、言うので 「肘が辛いので、肘の下にタオルか何か置いて欲しい。」 と、お願いすると 「腕を引っ込める感じで、手を胸の上に置けますか?」 ん?狭いのに無理じゃない? と、思いながら手を胸の上に置く。楽だ。 「良さそうですね?検査を始めます。」 寝台が筒の中へ入っていく。 ヘッドホンしなくてもいいんだ。 と、思いながら目を閉じる。 そして騒音が始まる。 ガガガガ ドドドド コンコンコンコン 間にメトロノームが聞こえる。 これに合わせて規則的に呼吸をしろって事かな? と、思いながら呼吸をする。 そのうち造影剤を注入され、呼吸と息止めの指示が出る。 「大きく息を吸って下さい。吐いて下さい。止めて下さい。」 この息止めが20秒から25秒。 息を吐いてから止めるって絶対無理! 一回目は合図があるまで息止めが出来なかった。 苦しい。 そんな時、父のアドバイスが脳裏をよぎる。 「全部息を吐くと苦しいから、半分位は残しとくと楽だぞ。」 半信半疑で次の息止めに入る。 「大きく息を吸って下さい……楽にしてください。」 息止め出来た! この作戦で、残り何回かを乗りこえた。 検査は30分以上かかった。 検査を終えて共通してることは 「水分を多目に取って造影剤を尿として出してください。」 だった。 今回の会計は9000円超。 「今日は診察がありませんので、そのままお帰りください。 次回は来週火曜日の14時ですね。」 予約券をもらう。 9日火曜日。 検査結果からの進行具合と手術の説明。 一緒に説明を聞きたい家族がいたら同席してくれと言われる。
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