第1章

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翌朝10月10日。 朝5時前に起床。 洗濯機を回し、娘と息子の弁当と今夜のおかずを作る。 お腹が空いてきたが、お茶を飲んで我慢する。 6時を過ぎたらお茶も飲めなくなるから、とりあえず飲んでおく。 6時になり、洗濯ものを干していると娘が起きてくる。 「お誕生日おめでとう。今日、ご馳走作れなくてごめんね。」 そう。今日は娘の誕生日。 娘を出産した日に子宮内膜掻爬術をするなんて…と妙な気持ちになっていた。 「ありがとう!明日、退院してきたら美味しいもの食べようよ!」 ニコニコしている娘に息子の世話も頼む。 6時半。 息子を起こして、私は家を出る。 この時間、駅までのバスはなく、荷物を持ち駅まで20分歩く。 娘も息子もこの時点では【母は癌じゃない】事になっていて【普通にお出掛け】扱いだった。 電車に乗ると学生で溢れていた。 高校生の頃、この時間帯の電車で通学していた。 あの頃の私に、今の私の状態なんて絶対予想できなかっただろうな。 なんて思いながら電車に揺られていた。 電車を降りて更にバスに乗り病院に向かう。
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