第1章

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お昼になると、なんとな~くいい匂いがしてくる。 隣ベッドの手術をしている患者さんの付き添いの娘さんが、病室でカレーを食べ始めたからだ。 斜め前のベッドの患者さんも、午後から手術で昼ご飯抜きのはず。 何と言うか…(^-^; そして、突然看護婦さんが私を呼びに来る。 手術をしやすくするため、子宮口を開く器具を入れると言う。 以前、似たような事で【バルーン】というものを使ったが、仕組みは同じ。 子宮口に細い棒を挿し込む。 すると、その棒が体内の水分を吸い、膨らんでいき子宮口が開いていく。 それがまた、弱い陣痛のようで、地味に痛い。 無事に器具が入り、内診台から下りると、看護婦さんが 「よく頑張りましたねぇ!えらいです!」 と、誉めてくれました。 普通分娩経験者なら我慢できる痛みだと思うが、中には麻酔や痛み止を使う人も居るそうです。 初めてタンポン入れたみたいに、妙な歩き方をして病室に向かう。 廊下で今朝のU看護婦さんにばったり合う。 「どう?大丈夫だった?」 「なんとか頑張りました。」 「頑張りましたねぇ!」 また誉められたので、頭を下げ病室に向かう。
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