第1章

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手術室。 思ったより広くない。 部屋の真ん中に平らなベッドがある。 「よろしくお願いします。」 ベッドの向こうに主治医のK医師が声を掛けてくる。 「よろしくお願いいたします。」 軽く頭を下げ終わると、手術室スタッフさんが 「確認のためお名前と生年月日をお願いいたします。」 と、声を掛けてくる。 答えると 「靴を脱いでベッドに上がってください。」 と、促される。 以前、同じような処置を受けたことがあるので、若干の余裕はある。 ベッドに乗り横たわる。 暖かくてエアーマットの様なふわふわしたベッド。 寝不足の私は、気持ちよく寝れそうとか考えていた。 大きな白い布を掛けられると 「病衣を外しますので、紐をほどいていただけますか?」 と、声を掛けられる。 紐をほどくと、片袖ずつ腕を抜かれ、言われた通り腰を浮かすとサッと病衣を抜かれる。 布の下はパンツ1枚。 そこからが早かった。 心電図等の計器をパパパパッと取り付けられ 「麻酔のお薬を入れますね。」 と、4人のうちの男性スタッフが私の手から点滴の管を取り(手術室前ではずされてからずっと持たされていた)、麻酔薬を注入し始めた。 「だんだん眠くなります。」 顔の前に酸素マスクが現れ、装着前に目の前が真っ白になった。 寝不足だったので、すぐに麻酔が効いてしまったようだった。
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