第1章

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「ビビさん。分かりますか?」 呼ばれると同時に、口の中から何かゴツゴツっと取り出される。 術前に説明があった、呼吸器が外されたらしい。 目を開けると少し息苦しく、手術灯?(大きなライト)の向こうに友人の顔が浮かんだ。 「………。」 友人の名前を呼ぼうとしたとき、息が吸えて呼吸が楽になった。 「大丈夫そうですね!」 うなずくと、男性スタッフが私を手術台からベッドへスライドさせた。 手術室の看護師さんがベッドを押して回復室へ移される。 手術時間は本当に短く、壁の時計を見ると17時10分。 16時半に病室を出たので、あっという間。 頭はぼんやりしてるが、手足の感覚はある。 回復室には私の他に術後の患者さんが居り、一人は寒くて震えが止まらないと訴えており、一人は手術が難航したようで一旦中止し執刀医が患者さんに説明をしていた。 その間、私は放置。 軽い生理痛のような痛みがあるが我慢できる。 だんだん暑くなり、足で掛け布団をたくしあげる。 両足を出すと快適になったのでうとうとする。 「ビビさーん?どうです?」 手術室の看護師さんがちらっと見に来る。 「あ、暑い?電気毛布取りますねー。」 (電気毛布なんかあったのかー?) 掛け布団の下から電気毛布をずるずる抜き取る。 ますます快適♪ で、放置。 数分後再び看護師さんが現れる。 「今、病棟の看護師さんにお迎えを頼んだので、来たら病室に帰れますからね。」 また放置。 数分後 「ビビさ~ん!お迎えに来ました! お疲れ様でした!」 元気なU看護婦さんが現れる。 「病室に帰りますが、ベッドのままあっちゃこっちゃ向きを変えるので、酔うかもしれません。目を閉じてた方がいいかもです!」 「はい。」 私が目を閉じると、ベッドのロックを外す。 「動きまーす!」 ベッドはゆっくり動き始めた。
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