第1章

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レディースクリニックの待合室に着く。 テレビではイモトさんが、アムロちゃんとのサプライズ対談番組の再放送が流れていた。 イモトさんは相変わらず真剣なのに面白く、クスクス笑いながら見ていたが、最後にアムロちゃんと対談したときはもらい泣きしてしまった。 そのタイミングで 「お待たせしました。 ビビさん中にお入り下さい。」 慌てて涙を拭き、診察室に入る。 レディースクリニックの先生(女医さん)は 「急にお呼び立てしてすみません。 前回の検査結果がでまして…。」 1枚の紙を出すが、英語や数字ばかりで分からない。 「あの…申し上げてよろしいですか? …あの…癌がですね…出まして…。」 紙には英語や記号が書いてあり【G1】だけが目に入る。 「このクリニックでは癌の進行具合が分からないので、総合病院に行って検査して…多分、手術した方が良いと思います。 紹介状を書きますので、C総合病院でよろしいでしょうか? いい先生が居るのですよ。」 先生が問いかける。 「すみません…C総合病院はちょっとごめんなさい。 地元病院なので、スタッフにお客様も多いし、知り合いも多いので。 S総合病院を紹介していただけませんか?」 先生を見る。 「S総合病院は、かなり混んでますので、1ヶ月くらい先になりますよ?」 先生は一生懸命話すが、気持ちは変わらない。 「私、小さいときの病気も、2年前の眼の時もS総合病院で奇跡的に助けて頂いてるので、今回も是非S総合病院でお願いしたいです。 ただ、緊急を要しC総合病院で早く診て頂けるならC総合病院に…」 まで言い掛けると、先生は手で話を遮り 「分かりました。そこまでおっしゃるなら、週明けにすぐS総合病院に事情を話し、予約をねじ込んで貰います! 必ず受診してくださいね!」 (必ず受診するに決まってるじゃん!) と、思いながら 「お願いします。」 と、頭を下げた。 「分かりました。また連絡致します。お大事にして下さい。」 先生はカルテにペンを走らせる。 私は立ち上がり 「先生、癌を見つけていただいてありがとうございます。」 深々と頭を下げた。 先生は驚いたようにペンを置きこちらを向き 「いえいえそんな! お気をつけてお帰り下さいね!!」 先生は最後まで申し訳なさそうでした。
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