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「あー君。百合にこの虹を教えるためにこうしてくれたんだね!」 「は?」 「あー超ぉー君。良い人だね~。いいこいいこしてあげるね」 頭を撫でられた。僕の思考は停止する。なにこれ。気持ちいい。 「あーこんな素敵な虹を教えてくれたんだからもっとお礼しないとね。君のスマホ貸してよ」 「あ、はい」 言われるがまま、彼女にスマホを渡す。 僕はこの時点でこの体勢を戻しておけばよかったとあとあと反省する。 「あー君。海原 桜っていうんだー。海原なのに桜って……。ぷっ、あははは!おかしーねー」 「あ、はい。自分でもこんな名前にした両親を恨んでいたり、いなかったりします」 すると、彼女はどこかに電話をかけ始めた。 僕はそれを見て、我に返る。やばい、通報される! それを阻止するか、しないか逡巡しているうちに彼女は僕のスマホを返してきた。 「それ百合の電話番号。また虹とか見つけたら教えてよ。撮りに行くからさ」 スマホの連絡帳には虹島 百合(にじしまゆり)という電話番号が登録されていた。 なんだ、さっきのは僕のにかけていたのか。なんだ。良かったぁ……。     
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