清らかな彼女

何が、真実なのか

B ……水だよね。お高いんでしょうね。
A 2リットル1000円。
B 安いっ。
A でしょっ。
B 100本買うぞ
A きゃっ。素敵っ。

8ヶ月後。
雪降るあの日、 雲海ショップで爆買いした後、彼女とは音信不通になった。部屋は雲海グッズで足の踏み場もない。水の箱の上で寝ている。

「次のニュースです。霊感商法で雲海ショップが摘発されました。被害総額は300億円。
従業員 清水 みき４５歳はデート商法で男性客に高額商品を売りつけていたようです」

B 嘘だろ。４５歳。彼女が。

テレビの中の彼女は、マフラーを巻いていた。
あの時と変わってない。
それに引きかえ、僕はときたら…
糸のように細かった目はキリッとした切れ長に。顔がシャープになったのは、20キロ痩せたからだろう
営業成績もトップになり、エリートコースと言われる本社勤務になった。今、最高のモテ期だ

B 雪だ。しょっぱいな。
僕は彼女のマフラーをして今日も出勤する。たぶん
永遠に。