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動画で何度も素奈田の実家に遊びに来ていたので場所は覚えていたが、道中にあった公園やコンビニを通る度にどうでもいい思い出を思い出すばかりで涙が止まらなかった。周りからは変な目で見る者もいれば察する者がいて金城の周りを避けていた。素奈田の実家に着いて玄関に入ったと同時に体の力が抜けて倒れてしまった。真っ先にやってきたのは高根だった。
「きしたさん!大丈夫ですか!?」
「…大丈夫」
金城はゆっくりと立ち上がり壁にもたれかかった。
「きしたさん、向こうに光の家族がいるのでご挨拶を…」
「うん。分かった」
部屋に入ると素奈田の家族が座っていた。素奈田の母は金城に近づいた。
「きしたさん。愛梨が元気な時は大変お世話になりました」
「いえ」
金城は素奈田の本当の苗字は知っていたが本名は初めて知った。
「愛梨はきしたさんとの活動を大変楽しくしていた姿をいつも見ていました。あのような姿、ゲーム実況の活動を始めてきしたさんと出会ってから明るい愛梨を見れて本当に嬉しく思います。ありがとうざいました」
「愛梨さんがそんなに思っていたなんて…こちらこそ愛梨さんのおかげで色々と助けてもらいました」
長く話していると、1時間経っていてそろそろ仕事の打ち合わせに行かないとダメだった。
「そろそろ仕事に行かないといけませんので、愛梨さんの顔を見ても良いですか?」
「ええ。でも、かなり顔の損傷が酷く…化粧で綺麗にしてもあまり」
「それでも良いです。もう二度と会えない仲間にお別れをしたいので」
金城はゆっくりと柩の中で眠っている愛梨を見た。愛梨の顔は右半分がつぶれていた。金城はそんな顔を見たくなかったが、手をあわせ愛梨達の家族に礼をし家を出た。
「待ってください!」
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