1人が本棚に入れています
本棚に追加
金城はゆっくり振りかえると、高根が走ってやってきた。息を整えながら高根は小さい巾着を金城に渡した。
「これは何?」
「光が大切にしていた巾着です。2つ巾着があったので1つは僕、もう1つはきしたさんに渡したいと大分前に言っていたので」
金城は巾着を手に取り思い出した。
『もしも、大切な親友と恋人が出来たらこの巾着を渡したいと思っているんです!』
「そういや、そんなこといっていたような…」
「中に何が入っているかはまた後日教えてください。僕は今から光達の家族の手伝いに行ってくるので」
「ああ。じゃあな」
金城は歩きながら巾着を開けた。中には指輪が入ってあった。サイズは薬指にピッタリで早速付けて帰った。
(この指輪。光さんだと思って大切にしよう)
金城は少し笑顔になり家に戻った。
「ただいまー」
金城は1人暮らしだが、昔から金城の母から
「お家にはね、神様がいるの。だから、1人でいてもちゃんと『ただいま』や『行ってきます』を言うんだよ」
と挨拶の教育をされていたので、それを今でも守っている。
(こうやって言っても誰も返事してくれないのが寂しいな)
指輪を見つめながら一歩歩くと
「おかえりなさい」
小さく聞こえた声。金城は不審者かと思い近くにあった傘を手に取り構えてゆっくりとリビングに向かい、ドアノブに手をかけた時扉からいきなり手が飛び出てきた。金城はいきなりのことで悲鳴をあげないで尻もちをついてしまった。
「そんなに驚かないでくださいよ。きしたさん」
金城は、聞き覚えのある声と手を見て真っ先に出た言葉は
「そ、素奈田…さん?」
すると、手は手招きをしたので扉を恐る恐る開けた。リビングには死んだはずの素奈田が目の前にいた。
「お久しぶりです。そして、おかえりなさい!今日から私は貴方の守り神になりました!」
最初のコメントを投稿しよう!