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天翔と那阿我が光に包まれていく。王都を包み込むほどに広がった光に目が眩んだ。
思わず閉じた目を刹琳が開いた時には、天翔の姿は見当たらなかった。
代わりに現れたのは、極彩に光る竜神だ。
竜神は一声啼いて迦楼羅に向かって突進した。迦楼羅の首元に噛みつくと、そのまま宮廷の裏手にある山へ迦楼羅と共に落ちていく。
那阿我と迦楼羅が山に追突し、地割れのような衝撃が黄寿中に走った。
山は砂煙に包まれ、煙が天に昇り、雲を作る。徐々に雲は大きくなり、しばらくすると雨が降り出した。
竜神の降らせた雨だと刹琳は気づく。その証拠に、山が那阿我と迦楼羅が衝突した場所からからふもとにかけて、深い緑に覆われて行った。
雨はすぐにやみ、雲の晴れた空から差し込んだ光明が山に差し込む。青々とした緑に包まれた山には、那阿我の姿も迦楼羅の姿も消え去っていたのだった。
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