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「野外訓練の時は、いつもなら保存食で済ませるんだ。だが、竜衆の姫にそんなものを食べさせるわけにはいかないからな。わざわざ町で食料を調達して作ってやったんだ。それを、食べられないと言うのか?」 「では、この粥はわたくしのために用意していただいたのですか?」  刹琳は目を丸くすると、粥と龍乾を交互に見やる。 「そのような恩着せがましいことを言うとは、どういうつもりだ。……刹琳さま、ここは鳳李がお毒見をいたします」 「毒見だと? 俺の作った料理に毒が入っているというのか。同じ鍋で作った粥を、全員が食べるんだ。毒なんて入っていない。それとも、俺がわざわざお姫様の椀にだけ、毒を盛ったとでもいうのか」 「完全に貴様らを信用することは出来ぬ。それに、刹琳さまの食事はすべて毒見をする仕来りだ」  鳳李が言うと、龍乾は額に青筋をたてて鳳李の胸元を掴みあげようとした。
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