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「これは私と貴女が召喚した精竜だ。貴女も竜衆の者ならば、精竜のことを知っているだろう。そして、自分の中に眠る竜のこともね」
背後から、先ほどの青年の声がした。振り向くと、美しく微笑む青年と視線がかち合う。
「やっと、見つけたぞ。我が、半身よ」
宝玉でも愛でるような仕草で青年は刹琳の頬に触れた。青年の顔が近づいてくる。
また、口づけられる――そう思った時だ。
「だめです、気持ちが悪い……」
刹琳は顔を蒼白にして、口元を押さえた。頭の中がぐらりと揺れる。
「おい、大丈夫か!」
遠のく意識の中、聞こえたのは必死で呼びかける青年の声だった。
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