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「日本でもそうだけど、ああいう職人の手仕事のものって欲しい人は高くても買うけど、大量生産の工場製品で構わないって人には価値がないだろ? だからやっぱりうちのオリジナルっていう強みが欲しいって思うよ」
「そっか……。なんていうか、ホント行動力あるよね」
「だよな、ぞぞむがそのうち東南アジアに買付け行くって言いだしても誰も驚かないぞ」
「いや、ぞぞむだけじゃなく孝弘も」
「俺? そうか? でもレオンもあちこち行くし、うちの奴らみんなわりとフットワーク軽いのかもな」
アクティブな人間に囲まれているせいで、自覚があまりないらしい。孝弘が苦笑を浮かべて、その笑顔になぜか祐樹は大理の工場を見たときの胸がちりちりする感じを思い出す。
「じゃないと少数民族の雑貨なんて扱わないでしょ」
「かもな。でも売れない商品作ってもしょうがないし、雑貨だと単価安くて大した利益にならないから、あんまり雑貨に力入れられるのもな……」
「ぞぞむはもっと拡大したがってるの?」
「いや、さすがにそれはない。新疆には絶対、仕入れに行くって去年からちょくちょく回ってたけど、雑貨だけじゃなくてちゃんとワインとか干葡萄とか利益が出るものも商談まとめてきたし」
「ちゃんと経営者してるんだ」
「まあな。なんだかんだ言って、一番人脈作ってるのはぞぞむだし、店舗の話もそこから来たし。行き当たりばったりで会社立ち上げた俺たちに今回の店舗展開は本当にすごいチャンスだと思ってる」
そうだろうな、と祐樹はうなずく。今の中国はチャンスに溢れていて、目端のきくものがどんどん成功者として名前を上げている。
櫻花公司もうまくその波に乗ってチャンスをつかんで欲しいと思うと同時に、そんな大事な時期に孝弘をここに引き留めていることに罪悪感も感じる。
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