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「出かける予定だったよな? でも今日はうちにいた方がいいかも」
「どうして?」
「風がものすごく強いって」
朝の天気予報で聞いたらしい。
「じゃあ、部屋で過ごそう。買い物は今度でもいいし」
秋冬用の衣類を見に行くつもりだったが、強風のなか、わざわざ行く気も起こらない。それよりも温かい部屋でのんびりぬくぬくと過ごしたかった。
「片付けは後にしよう」
もう一杯コーヒーをいれて、ソファに誘った孝弘が言う。
「うん。映画でも見る?」
マグカップの温かさを手のひらで包みながら、祐樹はほっこりと気持ちが緩むのを感じる。こんなふうに部屋でリラックスして過ごす時間が好きになった。
本当にもうちょっといちゃいちゃしたい気もするけど、朝だし起きたばかりだしと思っていたら、孝弘が身を寄せてきた。
「さっきから祐樹がそんな目で見るから、気持ちがもぞもぞしちゃってんだけど」
誘う目線に気づいていたらしい。期待するような何か企むような顔で祐樹の腰に腕を回してくる。期待にこたえて、ちゅっとキスをした。
「だって、夜這いしてきたのに、孝弘が何もしないで出ていっちゃうから」
バレてたならいいやと拗ねた口調で言ってやると、孝弘がちょっと目を丸くした。
「してよかったの? 眠そうだったからすげー我慢したのに」
「我慢してたの?」
「夜中にたたき起こすのも悪いだろ。でも祐樹がそんな顔してキスするからその気になっちゃうじゃん」
祐樹はいたずらが成功した子供みたいな笑みを浮かべた。
朝起きた時のすかすかした気持ち。つまりは寂しかったのだ。起きたら側にいると思っていたのに姿が見えなくて。
「先にちょっかいかけたのは孝弘でしょ、責任取ってよ」
あまえてささやくと孝弘は「仰せのままに」とにっこり笑って祐樹の鎖骨に口づけた。
完
最後まで読んでくださってありがとうございましたm(__)m
いつまでもいちゃいちゃしてて欲しい二人ですww
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