第1章

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 ともかく現在、店もスタッフの準備もほぼ出来上がっていて、3日後にはオープン予定になっている。なのに最終の申請書が通らないと言う事態だ。  まあレオンが何とかするだろう。  その辺はぞぞむもレオンも中国事情をよくわかっていて、予定通り事が進まなくても慌てたりはしない。もちろん最善は尽くすのだけれど、何事も思い通りに行くほうがめずらしいのだから、それくらいであわあわしていてはこの国で仕事はできない。 「まあまあ、気持ちはわかるけどそうカッカしないで」  レオンはくしゃくしゃと孝弘の頭を撫でる。髪を乱されて嫌そうに顔をしかめて、孝弘がその手を乱暴に振り払った。 「さわんじゃねーよ。明日はレオンが行けよ。ホントは俺は表に出られないんだからな」 「はいはい、わかってるよ。忙しいとこありがと。ところで孝弘」 「何だよ?」  まだ不機嫌が収まらない孝弘にレオンが楽しげに告げた。 「祐樹さん、来てるよ」 「……え?」  ソファを振り向いた孝弘は、そこでマグカップを持ったまま目を丸くして自分を見ている祐樹を見つけて、うろたえた顔になる。  その滅多にない動揺した孝弘の顔を見て、レオンが爆笑した。  予想通りというか予想以上の孝弘の反応に、してやったりと遠慮なくげらげら笑うレオンの尻に膝で軽く蹴りを入れて、孝弘は祐樹に近づいた。  思いがけず素の自分を見られて、取り繕えばいいのか開き直ればいいのか少し迷う。  ヤベ、マジ切れ見られた。  いやべつに見られて困るわけではないのだが、でもこんなふうに感情を爆発させた姿を見せたことはなくてすこし慌てる。
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