第2章

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 社会主義国ならではの情報統制もしていてニュースの内容には偏りがあるから、必ず衛星放送やBBCもチェックしているが、世界のニュースとの差も大きい。  インターネットがなかった時代から比べたら手に入る情報量は比べものにならないが、政府の規制は見えないところで張り巡らされていて閲覧できないページもかなりある。  経済的には改革開放政策以来かなり開かれて飛躍的に発展を遂げている国だが、その先はまだまだ見えない壁があるのだ。 「そうだ、水餃(シュイジャオ)食べに来ないかって、朴栄哲が誘ってた」 「へえ、どこの店?」 「自宅にご招待だよ」 「自宅に? あ、もしかして皮から一緒に作るってやつ?」  中国人の友人の家に行くと、麺打ち台が出されて作り方を教えてもらったと言う話を聞いたことがあった。よくあることらしい。 「どうだろ? 今回は作ってあるのかも」  孝弘がなぜかくすりと笑った。 「昨日のレストランで水餃出ただろ? そしたら奥さんの作る水餃がおいしいって自慢するから、じゃあご馳走してよって言ったらいいよってことになって」  朴栄哲は昨年結婚して、奥さん自慢がなかなかすごい。デスクにも結婚写真が飾ってある。 「それで招待されたんだ?」 「あの写真、どのくらいの変身ぶりか確かめに行く?」  最近の中国では結婚する時に写真館で豪華な写真を撮るが、あまりに修正が激しいので通称変身写真などと呼ばれている。  ウェディングドレスや旗袍(チーパオ)(チャイナドレス)はもちろん、清朝の皇帝皇后の衣裳やら果ては日本の着物風のものまで各種コスプレ写真を公園や景色のいい場所で撮影して、豪華アルバムを作るのが流行しているのだ。
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