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「そっか。あの奥さんに会えるのか」
写真では清朝の格格(公主)の扮装で、とてもかわいくにっこり笑っている。自慢するだけあって確かに美人だ。どの程度の変身なのか、見てみたい気もする。
「週末になるけど、いつがいい?」
「じゃあ明日、会社で決めようか」
朴と相談した方がいいだろう。孝弘もそうだなと頷いた。
「楽しみだな。手作り水餃って初めてだ」
「あ、そう? そうか、北方の習慣だもんな。そのうち祐樹も作れるようになるかもよ」
「やっぱ皮から?」
「当然」
「皮作るのって難しい?」
「意外とそうでもない」
「そうなんだ?」
「水餃の皮って薄くないから、わりと適当だよ。今度作る?」
スーパーで売ってる水餃粉で簡単に作れると孝弘は言う。
「うん。じゃあ作り方覚えて、日本に帰ったら水餃屋になろうかな」
「いいね。俺が毎日食べに行くよ」
「え、なんで客なの。点心師(点心の料理人)は孝弘でしょ」
「そう来たか。じゃあ祐樹が老板(店主)か」
冗談に笑い合うが、ふとそういうのも悪くないと思う。
二人で店をする、なんて夢物語に決まっているけれど。
孝弘と水餃屋さんになるのも悪くない…。
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