第2章

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「そっか。あの奥さんに会えるのか」  写真では清朝の格格(ガーガ)(公主)の扮装で、とてもかわいくにっこり笑っている。自慢するだけあって確かに美人だ。どの程度の変身なのか、見てみたい気もする。 「週末になるけど、いつがいい?」 「じゃあ明日、会社で決めようか」  朴と相談した方がいいだろう。孝弘もそうだなと頷いた。 「楽しみだな。手作り水餃って初めてだ」 「あ、そう? そうか、北方の習慣だもんな。そのうち祐樹も作れるようになるかもよ」 「やっぱ皮から?」 「当然」 「皮作るのって難しい?」 「意外とそうでもない」 「そうなんだ?」 「水餃の皮って薄くないから、わりと適当だよ。今度作る?」  スーパーで売ってる水餃粉(シュイジャオフェン)で簡単に作れると孝弘は言う。 「うん。じゃあ作り方覚えて、日本に帰ったら水餃屋になろうかな」 「いいね。俺が毎日食べに行くよ」 「え、なんで客なの。点心師(ディエンシンシ)(点心の料理人)は孝弘でしょ」 「そう来たか。じゃあ祐樹が老板(ラオバン)(店主)か」  冗談に笑い合うが、ふとそういうのも悪くないと思う。  二人で店をする、なんて夢物語に決まっているけれど。  孝弘と水餃屋さんになるのも悪くない…。
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