第3章

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「キャバクラ的な店でいいんですか?」 「そうだな。とりあえずは…。そこはお触りありなの?」  青木が首をひねりつつ、孝弘に質問する。訊かれた孝弘は平然としている。これも仕事のうち、エッチな店の情報もいくらでも持っていそうだ。  頼りになると言っていいのか、これ。5年前はとても困ったらしいが今ではもうそんなことは何とも思ってませんみたいな顔をして。 「建前上ダメです。チップ次第でサービスしてくれますけど」 「ふーん。…もっと黄色いサービスをする店を用意したほうがいいのか?」  黄色いサービス、というのは性的なものやエッチなものを指すときの言い方だ。エロ本なども黄色い本と言ったりする。日本で言うところのピンク色がこちらでは黄色なのだ。  清朝時代には皇帝しか身に着けることが許されなかった高貴な色が、今やエッチなことを意味する代表色だなんてどういう皮肉だろう?   そんなことを考えながら、なんとなく二人の会話を聞く。別に聞き耳立ててるわけじゃない。二人は普通の声で会話しているし。って誰に言い訳してるんだか。  さすがに会話の内容に配慮したのか、中国人スタッフはもう帰った後だ。 「じゃあ、マッサージですか?」  マッサージと言ってももちろん肩や背中を揉み解してくれるわけではない。 「うーん。先方がそのつもりなら案内したほうがいいのかな」 「どうでしょうね。食事して、その後ですよね?」 「ああ。こういう時はどんな感じになるのが一般的なんだ?」 「まあその場の流れもありますけど、こことかここでいいんじゃないですか?」  孝弘が店の資料らしいものを見せて、青木がふうんと頷いた。 「…ほっそりした美人が多いんだな」  女の子の写真一覧でも見たらしい。
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