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空を見上げた。ビルの隙間から青色が溢れ出していた。こんな空を見た時、小説や漫画なら、主人公は清々しい笑顔を零すだろう。鳥達は飛び回り、それを見て人間は翼を生やして、自由に空を翔けることを夢見るのだろう。だが、私は眉間に皺を寄せた。
空がそんなに良いものなのか?太陽に月、あとは雲と星くらいしかない只々広いだけの領域がそんなに心に染みるのか?そんなに思い焦がれる場所なのか?あり得ない。空を見上げたところで何の解決にもならない。翼は生えやしない。翼が生えた人間がいたら教えてくれ。俺が毟り取ってやる。
人間は何故に翼を与えられず、人間として五月蝿い地上に産み落とされるか。金の為?誰かの為?善行積んで極楽に行くため?来世の自分に楽させる為?前世の自分の罪滅ぼし?
違う...違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!
何かを成す為さ。何だっていい。踊ったっていい。歌ったっていい。描いたっていい。蹴っても、跳んでも、叫んでもいい。こうでなきゃいけない何てことは1つもない。世間が語る常識は考えない奴の戯言だ。
己の魂を感じ、己の魂を信じ、己の魂を疑うことなく、己の魂に従って突き進む。その高なる鼓動で地上を揺らして風を巻き起こす。俺は左手にペンを、右手に白い紙を持つとしよう。何かを成してみせよう。
俺は空に向かって中指を立て、前を向いて家へと急いだ。
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