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窓から射す暖かい光は僕の体を優しく包んだ。
暖かく、優しいその光はどこか懐かしく感じる。
そう、まるで彼女に後ろから抱き締められている様な感覚。
このとき僕は懐かしき彼女のことを思い出していた。
細い手足に綺麗な指、ふわりと靡く長い髪、透き通った柔らかい声。
彼女は見た者を魅了し皆が口を揃えて美しいと言う、どこか儚さと少しの謎を感じさせる美しい人だった。
もう一度彼女に会いたいと願う。
だが、彼女が会うのを拒んでいるかのように目覚ましの音が部屋中に鳴り響く。
僕はゆっくりと瞼を開いた。
ボヤけていた視界が少しずつ元に戻る。
机の上にはノートパソコン、近くにはメモとペンが転がっている。
ノートパソコンの画面には文章が並んでおり、どうやら小説を書いているうちに寝てしまったらしい。
ちなみにメモには何も書かれていなかった。
何時間前に入れたか分からないブラックコーヒーはもう冷めきっていた。
僕はマグカップを手に取ると中のブラックコーヒーを一気に口に含む。
口の中に独特な香りと強い苦味が一気に広がる。
そのブラックコーヒーの独特な香りと強い苦味は夢現つだった僕を現実世界へと連れ戻した。
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