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だが、そのブラックコーヒーは美味しくない、やはり美味しいのは入れたてだと再確認する。
机の隅に置いてある時計、時針は8を分針は7を指していた。
4月15日 月曜日
「今日は気分転換に図書館とか本屋にでも行くかな」
そう言いながら僕は伸びをする。
家には僕以外誰も居ない。
もちろん彼女なんて生まれて1度も出来たことがない。
おまけに友達も少なく小、中は常に一人で本を読んでいたのを覚えている。
高校も始めは独りぼっちだったが、友達と呼べる様な人間関係も多少は出来た。
今は小説家になってほぼ引きこもり状態。
独り暮らしの小説家はだいたい何処も似た様なものだろう。
そう自分に言い聞かせながら僕は立ち上がり窓を開けた。
すると、春風と共に僕の部屋に桜の花びらがヒラヒラと舞い散る。
小鳥は囀り、猫はもう昼寝、人々は働いている、いつもと変わらない日常。
そんないつも変わらない普通の日常が今は好きだ。
だが、昔は何も変化しない日常、変化しない世界が大嫌いだった。
いつも常に変化を求め、ちっとも変わらない世界にうんざりしていた過去。
あの時は、瞳に光がなかった。
毎日のようにため息ばかり吐いていた。
そんな時出会ったのだ、
白黒で色がなかった僕の世界に色をつけてくれた彼女に......。
これは僕と彼女が過ごした約1年間の物語。
そして、僕と彼女の別れの物語だ......。
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