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☆prologue☆
梛音はカーテンの裏側にいた。
そしてカーテン越しに、憐と四ノ宮医師の気配を伺い、忸怩たる思いに苛まれる。
一体自分は何をしてるんだ?
余りにも不甲斐ない自分に反吐が出そうだった。
梛音、お前は何のために、医者を目指した?
そして今も、死ぬほど大っ嫌いな親父に頭を下げてまで、奴の病院で働いてるのはどうしてだ?
そう、全ては憐の病気の治療の為だ。
なのに今自分が出来る事は、二人の会話をこっそり盗み聞く事だけなんて。
もどかしさで、どうにかなってしまいそうだった。
生まれながらにして、薬物依存症となった憐。でもそれは憐には何の非も無い事だ。
全ては身勝手な大人たちが招いた欲望の結果だ。そんな奴らの戯けた言い草なんて、憐の耳に本来なら、一欠片だって入れたくは無いんだ。
しかし憐の治療には、自分を知り、理解することが何よりも重要なことなのだ。
だから、今は、今だけは、我慢してくれな憐……。
今すぐ憐のそばに行って、その胸の痛みが和らぐように、抱きしめてやりたいのに。
いっそ、自分の正体を明かしてしまった方が良いのだろうか……。
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