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夏鈴は俺なんかよりもずっと大人だった。わかってはいたけど、やっぱりそうなんだな…。
夏鈴には、敵わない。
色んな意味で、俺にはない長い目を持っているし、欲望には流されないし…。
道路わきの空き地に車を寄せて、俺助手席の彼女を抱きしめた。
「愛してるって…? この俺を?」
ちゃんと目と目を合わせて、確認しなくちゃ。都合の良い夢だとしたら、夢から醒めた時に俺は死んでしまうだろう。
「愛してるよ? 出会った時からずっと愛してる…。ただの恋じゃないの。晴馬の良い所だけを見て言ってるんじゃないよ。どんな人も欠点や受け入れがたい部分だってあるでしょう? そういうの、全部わかったとしても、きっと…、私の晴馬への想いは変わらない。これまでも、これからも、ずっと…」
俺は全身が震えていた。
嗚呼、でも確か襟裳岬でも、夏鈴は可愛いことをいっぱい叫んでくれたんだっけ。思い出したら、また初夜の猛烈な感動が蘇ってくる。
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