俺の可愛い生徒

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 地元のラーメン屋で遅い夕食を食べてから、夏鈴を爺さんの家まで送っていく。明日は金曜日。お泊りセットを車に積んで、デートしてから俺の部屋に帰って二泊三日ラブラブしてくれる約束を取り付けた。  ご褒美って言えば、美術準備室で声を我慢した夏鈴になにをプレゼントしようか考える。髪飾りとか化粧品とか、そういうものを欲しがらない女の子だからプレゼントに困るんだよな。  取り合えず、居酒屋仕込みの腕で美味しい飯を作って食べさせてやろう。俺はきっと良い亭主になる自信はある。何せ一人暮らしが長くて、案外きっちり家事もできるからな。  夏鈴の爺さんが表に出てきたから、俺は運転席から降りて駆け寄った。 「いつもご苦労さん」 「お疲れ様です」 「そんな他人行儀にしないでくれよ。夏鈴はじゃじゃ馬だろ? 疲れないか?」 「あ、いや。じゃじゃ馬ですか?」 「そうだよ。あの子は誰の言うことも聞かない我が道を行く子だからな。手綱をつけたところでコントロールできない。お前さんは、自分を乗せた馬が言うことを聞かなくても気にしない男か?」 「…はあ…」 「そんなに難しい話じゃないぞ? 夏鈴を嫁に欲しいならちゃんと考えておいてもらいたいんだ。あの子は普通の子じゃない。 あの子と生きていくということは、お前さんが想像できる何倍も大変なんだ。今は漠然としたことしか言ってやれないが、もうそろそろ気付いてくる頃じゃろうと思ってな」
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