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バスが着いて、降りてきた生徒の中に夏鈴の姿を見つけると視界が何倍も明るくなる。
夏鈴が俺に気付いてニコリと微笑んだ。なんて美しい風景だろう。写真に撮って飾りたい。
「おはようございます」
「おはよう」
それだけ。すれ違う瞬間、しっかりと視線を絡ませた。
他の生徒ともちゃんと挨拶をして、門限まで俺と体育の先生は出迎えをした。今月は当番だから、今日から毎日朝のお迎えと帰りの見送りをする。
高校生でも子供は子供だ。女子生徒が多い高校に、おかしな男子が近付いたり、車で送り迎えをするのは公立高校では御法度。
風紀の乱れを防ぐためには、先生達で監視するしかない。
門を閉じて玄関に向かう途中、ふと見上げると窓際の席からこちらを見ている夏鈴に気付いた。
穏やかに微笑む彼女は女神のようだ。こうして、他の生徒の中にいる彼女を改めて見ると、教頭先生が言いたいことがよくわかる。場の空気が凛とするような、そんな落ち着きがあるんだ。
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