201人が本棚に入れています
本棚に追加
「みんな、幸せそうだね」
「俺達も幸せだな」
「そうだね」
夏鈴はクスクスと笑う。
その笑い方がくすぐったくて、俺も変な笑い方になった。
「晴馬、気持ち悪い」
「気持ち悪い、言うな」
「だってぇ…」
フェンスの手前で抱きあった。強風の中、なびく彼女のポニーテールに顔をしばかれる。
「髪の毛が凶器なんですけど」
「あはは、ごめん」
夏鈴は髪を手で抑えた。その仕草がとても素敵で、キスをしてしまう。
観光地、何組もいるカップルの中に紛れて交わすキス。これはこれで楽しいもんだ。バカップルの仲間に入って、公共の面前で遠慮なくラブラブできるから。
「夏鈴、キスが上手くなったね」
「晴馬にされるがままだよ? 何もしてないよ…私は」
最初のコメントを投稿しよう!