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夏鈴は不思議そうな顔をしていたけど、口元がちょっとだけほころんでいた。
あ、こいつは察してくれているんだな、なんてことを思うと一秒でも早くそこに連れて行って押し倒したくなった。
「座るため…、じゃないの?」
おそるおそるという感じの、ゆっくりとした言い方。そして、俺を真っ直ぐに見たくても見れないっていう恥じらった顔。
「そうだ。椅子は座るためにある…だけど、長椅子は座る以上の事もできる」
バカなことを言っている自覚はあった。でも、戸惑いとも違う恥じらった夏鈴をもっと困らせたくなって、意味不明な言語が勝手に口を登って来るんだよ。
笑ってくれ…。
「俺はお前と座りたいし、ただ座っているだけじゃ面白くないから、楽しいお喋りでもしながら肩を揉み合おうか…」
「な、…なにを言い出すんですか? ここは学校ですよ!」
とうとう真っ赤になった夏鈴が怒り出した。怒って真っ赤になった振りをしたいのだろうか。
でもな、夏鈴。怒ってるお前も、めっちゃ可愛いからさ……。逆効果だぜ?
そんな心のつぶやきとは違って、俺は先生らしく夏鈴に説明した。
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