1章ー嘘と友にー

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茶番劇を糧に歯を食いしばって帰宅する。姉が帰ってくるのはまだ数時間は後だろう、その間しっかり休息をとるとする。だが姉は俺の予想を遥かに早い時間に帰ってきた。 「あーしんど、疲れたーあたしが1番しんどいー」 姉の鳴き声、「あーしんど」もううっとうしい。 「ユウトー!構ってー!癒してー!」 すぐに俺に近づいては抱きつこうとしてくる。あーもう。 「近づくな、うっとうしい。風呂入って早く寝たらいいだろ」 「そんなこと言わないで構っ、て!!」 「んぐっ…!!」 無駄にでかい胸に顔を埋められそのままソファに押し倒される。 「んーユウトはかわいいなー」 「は、なっせ!!はぁ…」 そのまま何も言わず俺は自分の部屋に向かった。 「あー!ユウト行かないでー!1人にしないでー!!待ってよー!ねーえ!!ユーウートー!!!」 うるさいのも姉の特徴だ。あいつの声だけ外に丸聞こえで恥ずかしくて仕方ない。昔からスキンシップが激しく、今でも少しマシになっている方だ。姉とは4つ離れており小学校の頃は力及ばず、何度も唇を奪われたこともある。少しトラウマなレベルで…。 「ユウトー構ってよ…あ!鍵閉めたな!それはずるいって何度も言ってるのに!あー疲れたあーしんど」 姉はぐちぐち駄々をこねながらリビングへ戻る。決して自分の部屋でくつろぐことはない、最近は寝るのも親の隣で寝ているようだ。極度のかまってちゃんなのかなんなのか、姉の友達は大丈夫なんだろうか。家にはテレビが3台あり、俺の部屋に1台あるため退屈はしない。残りはリビングと使わない姉の部屋だ。今姉はリビングで録画してたバラエティを見てテレビに話しかけている。 そろそろ母さんが帰ってくる頃となった。 「はーただいま」 ちょうど帰ってきたようだ、ここからまた姉が暴れだす。 「ママーお腹すいたーごはんー!」 「今帰ってきたばっかりでしょ、ちょっと休ませて」 「ええーはやくー」 姉の扱いにたけた母さんは適度に返し、適度に無視する。俺の扱いもうまく、姉がいると俺が部屋にこもることを知っているのでご飯ができるまでは呼ぶことはない。話をうまく流しながらご飯を作っていき、完成するとメールで大きく円を作った人の絵文字が送られてくる。それを見て俺はリビングへ行き、ご飯を食べる。できてすぐ俺が食べ始め、片付けを済ませた母さん、早く食べろと言われた姉の順番だ。
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