1章ー嘘と友にー

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母さんと2人の時はここで話し合ったりするのだが、今日は無言を貫いた。母さんもわかってくれているようで何も話しかけてこない。食べ終わると俺はすぐ自分の部屋に戻り、宿題やSNSをチェックする。すると、カレンさんからメッセージが届いていた。 「10時に駅集合で!」 返答のメッセージをうち、ベッドに姉とダイブ。 「うわっ!なんで!」 「開いてたから、かまってほしいのか と思って」 「そんな訳あるか!離れろ!!」 これが成谷家の日常。姉、友澄の生態だ。 待ち合わせ5分前、駅に到着する。カレンさんはまだ来てないようで、時間を潰すためスマホを開きSNSを流し見する。10時ちょうど、カレンさんが胸を揺らしながら駆け寄る。 「ごめん!ちょっと遅れちゃったぁ」 「いえ、時間通りですよ。もっと遅れると思ってました」 「ひどぉい、マジメなんだよぉ私ぃ」 話も程々に映画までの時間を買い物兼食事で過ごすためショッピングモールへ移動を始める。顔もスタイルもいいカレンさんはきっと私服になると目立ってしない、隣を歩くのが恥ずかしくなると思っていたが、流石と言うべきか、俺のレベルに合わせてくれている。それに…。 「カレンさんその服かわいいですね」 「ん?へぇ、友翔もそういうこと言うだぁ」 「まあ、挨拶みたいなもんですから」 姉と同じ服着てたから言おうか悩んだけど一応ね、一応。 「何か買いたいものとかあるんですか?」 「んーそぅだねぇ、友翔って好きな匂いとかある?」 「え、焼肉の匂いとか好きですね」 「あはは、おもしろいそれぇ!」 「はは、好きな香水とかは特にないですよ」 「ぅん、じゃ!それ決めに行こぉ!お姉さんがいろいろ教えてあげる」 女の子と話す時に必ず出る化粧品、今はコスメっていうのか。正直ついていけないから教えもらえて助かる。男も匂いは気になるものだ。体育とかで汗をかいた時はタクミや田中から借りてるから自分で買うのは初めてだ。化粧品売り場に着き、辺りを見渡すと男の姿はない。女性、ご婦人ばかりだ。 「わかってはいましたけど男の人がいないですね」 「まぁねぇ、ぁでもほら、カップルはいるよ」 キャッキャと楽しそうにしている。タクミもこういう所くるのかな。 「あと友翔ぉ、もぅ敬語やめない?私気にしなぃよ?」 「それはちょっと、俺が気にします」 「やめろって言っても?」 「…時間ください」 「ふふ、ありがとぉ」
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