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俺の思考を止めるようにカレンさんは俺に質問をする。俺が答えられないのを知っているかのように。
「好きですよ」
「じゃぁ付き合ってよ」
「いやそれは…」
「嫌いなんだぁ…私のこと」
「そういうことじゃなくて…」
「ふふ、ごめん、いじわるしちゃった」
これだけは本当に答えずらい、互いに好きなら付き合うのが自然。俺もそう思う。でも、俺は付き合うわかにはいかない。これ以上はもう…。
「ちょっと早いけど、もう帰ろっか」
「え、まだ俺は…」
「いぃよ、無理しなくて。今日はありがと付き合ってくれて、これからもよろしくね、友達として!」
「…はい、いつでも連絡してください」
カレンさんは駅の方へ歩き出していった。俺はその背中を追いかけることはできなかった。
駅に着いたカレンさんは、溜め息と言葉をこぼす。
「はぁ…あの子は無理そうね」
改札へ歩を進めようとした時、前から聞き覚えのある声がした。
「あれ、三島先輩っすよね?もう終わったんすか?」
陸上の試合を終え、デートを覗きに来たタクミだった。カレンさんは俺の友達ということもあるタクミから、俺のことを聞くために俺と行く予定だった場所へ。
「…ねぇ。ちょっと付き合ってよ」
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