1章ー春から始まるー

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1章ー春から始まるー

4月、高校に入学し1年がたった。新しい環境にも慣れ、より一層楽しい高校生活が始まる。うん、絶対に。 「タクミもそう思うだろ!」 俺は一緒に登校している仲本拓海(なかもとたくみ)に話しかける。 「いや何がだよ。急に意味わかんねぇこと言うな、反応に困る」 くだらないボケにも付き合ってくれるなんて、さすがタクミ幼なじみなだけある。 「はは、なんか俺もタクミの優しさに甘えたくてつい…」 「えーダメだよ!ミーくんに甘えていいのはあたしだけなんだから!」 タクミの左腕をしっかり自分の腕で絡ませ、少し怒った口調で話すのは皆川美結(みなかわみゆ)。ミーくん…タクミの彼女だ。 「なぁ美結。そのミーくん呼びやめてくんない?恥ずか死にそう。あとナル、気持ち悪いこと言うな。」 「えー」と皆川は駄々をこね、ミーくん呼びを続けようとしている。俺も面白がって「ミーくんかわいいもんねー!」と言って皆川と2人で「ねー!」と声を合わせる。タクミは本当に恥ずか死にそうにしているが、嫌がっていないのはよく分かる。そして、俺の名前。成谷友翔(なりやゆうと)の成の所からよくナルと呼ばれている。名前を間違って覚えられているのはきっとタクミのせいだろう。 「ナルくんは彼女つくらないの?」 「んー彼女かー考えたことないなー」 皆川からの質問を軽く流す。よく聞かれることであまり話したくないことだ。ふとタクミの顔を見ると何か不安そうな顔していた。 「ナル、お前このま…」 「あー!そういや!2人は付き合ってどれぐらいたったの?」 声を張り無理やり話題を変えていく。タクミの顔が曇っていくのがわかったが気にしない。いつもの事だから。
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