1章ー告げ彼らー

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別の学校からは今までに失ったものを取り戻すかのように、大切なものを。友達を。思い作るようになり今に至る。互いに恐れているものは同じ、1人にされること。 「おーい、ナル起きてるか?」 突然ドアを開け、先生がいないのをいいことにタクミは声を発する。 「起きてるけど、手前のベッドな」 「ここか、ほらスマホ。美結のおかげでなんとか収まったよ」 それはよかった。そして、スマホも壊れてなくて本当によかった。 「それと伝言、三島先輩は大事を取って早退、親御さんが迎えに来るみたいっす。ナルは2限から出ろだって」 タクミは持ってきた荷物をカレンさんに渡し、すぐに教室へ戻って行った。 「俺はカレンさんのこと友達と思ってますから」 「急になに?」 「だから絶対、なんとかしますよ」 「…好きにすれば」 友達のために出来ることなら何でもする。それが今の俺の生き方、誰も1人にさせない。いろいろやりたいことはあるけど、まずは休もう2限までおやすみ。 目が覚めるとカレンさんはおらず、時間は昼休み。てあれー寝すぎてるーてか誰も起こしに来ないのか。そんなことを考えていたが時間としては都合がいい。俺はすぐに自分のクラスではなく、カレンさんのクラスへ向かう。教室に着き、中を覗くと昼食を食べ終えたのか今朝と同じ姿勢で寝ていた。近くの人に声をかけ、嘘寝をいている先輩を呼んでもらい、気だるい様子でこちらにきて「何や?」と淡白な質問。 「ここじゃ、あれなんで場所変えましょう」 俺は人気がない場所へ先輩を連れて行き本題を話す。 「タツトさんにお願いがあるんです」 「いや待てや、まずなんで俺やねん」 「あーそれは今朝、タツトさん寝たフリして様子伺ってたからですよ」 「他にしてる奴おったやろう…」 確かにそんな人は他にもいた。しかし、あの至近距離でしてたのはこの人だけで、みんなは明らかに遠くから見物していた。逃げもせず自分は関係ないと強く思ってる人しかあの場に留まるのは難しいだろう。 「自分は関係ないって思ってたタツトさんにしか頼めないことなんです」 「それ俺やるメリットあるか?」 「正直ないです。でもお願いします」 俺は頭を下げ情に訴える。それしかできない。 「…まぁどうせあれに関することやろ。あの雰囲気どうも気に入らんからな、ほら話してみーや」 「ありがとうこざいます!じゃあ…カレンさんに挨拶を返してあげてください」 「はぁ?それだけか?」 「はい、それだけです」
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