1章ー告げ彼らー

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「そんなんでええんか?仲直りさせろとこ雑なこと言ってくるか思たけど」 「今は返すだけでいいと思います。カレンさんの方からするようこっちで何とかするんで」 「ふーん、まぁええわ。じゃちょっと許可とるから待っとけ」 タツトさんはおもむろに電話をかけ始め、声のトーンを少し下げ話し出す。 相手は彼女さんだろうか、女の子と話す、しかも相手が嫌われ者なら悪目立ちして浮気を疑われてしまうなんてこともだろう。それを見越して、許可を取っているのか。やっぱりこの人にして良かった。タツトさんはカーストの中で真ん中の位置にいると思っていた。目立つ場所にあえてとどまって、目立たなくすることで逆に目立つことを避けた。そんなことは考えていないだろうけど、それができるのはある程度肝が据わってないとできない。そして、声をかけてもらった人からタッツウと呼ばれていたこともあり、友達もいるのはわかった。あとはどれだけ正義感と人に興味がないかが心配だったけど、大丈夫そうだ。 「よし、許可取れた。返すだけでええねんな?」 「はい、お願いします。あと1つ聞いていいですか?」 「ん?ええよ」 「カレンさんについてどう思います?」 「んー、別に誰と付き合って悪いとかないやろ。浮気する男が悪いねん全部。まぁ俺には関係ないし、あでも俺には話しかけて来てないなアイツ…。なんか腹たってきたな。別にええけど。でそんだけか?じゃあまたどっかでな後輩!」 この人にして良かった(?)と思うことにして、次はカレンさんだな。脅すぐらいしないとやってくれないだろうからな、それ以前に学校来てくれるかだけど。 『明日学校に来てくださいね。それで河内達斗さんに声かけてください。絶対ですよ。逃げないでください。待ってますから^^』 これでいいだろう。後は待つだけだ。そして自分の教室へ戻ると俺は昼まで寝続けたことを怒られたのであった。 翌日、 心配になった俺はカレンさんを待ち伏せしていた。予鈴が鳴る5分前、カレンさんは現れ、強く鞄を握りしめながら真っ直ぐ教室に進んでいく。教室の前で立ち止まり、1度深呼吸してから扉を開ける。怯えたような足取りで少しずつ自分の席へ1歩、1歩誰も何も見ないように。あれあの人ビビってやること忘れてる?眠るタツトさんの前をゆっくり過ぎようとした時、タツトは体を起こし何やら話しかけている。
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