0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミーくん!ナルくん!また後でねー」
皆川は3組、タクミと俺は7組の教室に入る。クラスは10組まであり、1年も3年も同じだ。
「そういやナル、目標は達成出来そうか?」
「今で3分の1ってぐらいかな、友達の友達を含めてだけど」
タクミが言ってる俺の目標、それは「同学年全員と友達になる」だ。1クラス30人で男女が半々程度で別れていて正直達成できる気がしない。
「それ十分すごいだろ」
タクミは驚きながら自分の席に着き、俺もタクミの後ろの席に着く。こんなに近い席なのは初めてだ。
「そんなことないって、あ、それ手伝うよ」
席に着くやいなや俺は日直の仕事を手伝いに行く。
「いいの?じゃあお願い!」
「また成谷が優しさばらまいてる」
「ナルのせいで男子のハードル上がってんだぞ」
「もうナルくんの慣れちゃった」
好き勝手言って全部聞こえてんぞ。優しくしたからって友達になれる訳じゃない。小さなことから少しずつ距離を詰めて、好感度を上げ過ぎず下げ過ぎないところで留まる。自分は無害だとアピールするのは有害とアピールするよりはるかに難しい。
「好きでやってんだからいいだろ?みんな何か困ってたら言ってくれよ!」
「じゃあ宿題やってー」
「それは自分でやれ」
そんなやり取りをしてるうちに予鈴が鳴り、それぞれが自分の席に着いていく。2年になって最初の授業ということで午前中で終わる。体育館へ移動し、校長の話を聞く、教室へ戻り、これからもよろしくと担任の話を聞いて解散。みんなが遊ぶ約束をしている中、俺は手紙の相手に会うため校舎裏へ向かっていた。
最初のコメントを投稿しよう!