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「…緊張するなー」
相手は俺の事を知っているのだろうが俺は相手のことを何も知らない。告白する方はもちろん緊張している。当然だ、しかし、される方も割と緊張する。実はドッキリで男達が「うわ、ほんとに来たよ(笑)」みたいなことがあればさすがに立ち直れない。それだけはないようにと願いながら待ち合わせ場所の校舎裏に着き、辺りを見渡す。
「あれ、まだ来てないのか…」
そうつぶやくとすぐに後ろから女の子がやってきて声をかけてくる。
「あの、成谷友翔くん、でいいのかな?」
「はい、成谷友翔です」
「はぁ…来てくれてありがとう、私は三島香恋(みしまかれん)」
「あーどうも三島先輩」
「成谷くん、あの、急で驚くかもしれないけど、私あなたが好きなの。良かったら付き合ってくれない?」
「えーっと、気持ちは嬉しいんですけど、すみません。お付き合いはできません」
「あはは、だよね。初対面なのにごめんね。まずはお友達から…」
「あーはい、友達なら喜んで。でも1つ言っておくと俺、誰とも付き合う気ないんですよね。理由はまぁいろいろあるんですけど、その辺お願いします…」
「え、あ、うん、そうなんだ…うん!大丈夫だよ!」
「ありがとうございます!いやー割と受け入れて貰えないことが多いんで嬉しいです。あ、これ俺の連絡先です。じゃ!これで」
「うん、また、ね」
そうして俺は三島さんに背を向け歩き始める。
「…意外と大人しい人だったな。もっとチャラくてウェイウェイしてる人が来ると思ってたから驚いた。先輩が友達か。なんか失礼かな、いや気にしてはいけない。ちょっと引いてたし距離を詰める時は慎重にやらないと。さ、帰って田中達とゲームでもしよ」
その日の夜。
「んー疲れたー。大人しいキャラはやっぱり慣れないなー。あんま反応良くなかったし。次は素で行こっかな。にしても、噂通りの子だったわね。ふふ、『誰とも付き合わない』か。あの子ならきっと…。覚悟してなさい友翔。必ず落としてみせるから」
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