ねんねんねこねこ

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 部屋を見回すが、家具の位置も同じだ。だけど、やっぱり違う。これは夢だろうか? いや、むしろ走馬灯?  夢ならば、の定番、頬を抓る。しかし、抓ろうと上げた手は手でなかった。肉球だ。いや、前足だ。  やはり夢か。夢なのか。だが、夢なのに腹は減った。喉も渇いた。夢ならば、思い通りにご馳走が出てきて欲しい。いや、だったら人間の姿で食べたい。  しかし、願ってみても現状は変わらなかった。仕方がないので、部屋を探検することにした。四つ足は慣れないが、人類は一度は通る道。乳児に出来ることを出来なくてどうする。  部屋を歩き回るも、やはり目線が低い。上の方はわからない。猫の跳躍力なら日本家屋なんて楽々天井にも行けるだろう。だが、中身は人間だ。四つ足で歩けはしても、飛び方は分からない。いや、椅子やベッド程度の高さなら行けるか? ベッドなら着地に失敗してもふかふかだから痛く無さそうだ。
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