《Chapter-03》 Information

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SSアーク号の推進装置は、最新型のCF-PREを搭載する。夢の低温核融合(Cold Fusion)が生むプラズマ放射を用いた最新のPlasma Rocket Engineだ。 生物に有害な放射線の放出量を極力抑えることも可能となり、放射能の問題も無くなった。 「慣性質量を考慮しても、光速度の半分は、楽に超える!」と、チーフエンジニアのジョー・ヤシマは、腕組みをしながら明言した。 ロケット工学の第一人者である彼の計算によると、1億kmを超える火星航路は、3週間を要する予定だ。人類初の有人飛行が行われた21世紀当時では、300日にも及ぶ長旅だったと言うからこの数字は驚異的だ。 CF-PREは長時間に亘り連続噴射が可能で、宇宙船を加速し続けることができる。それによって、星間航行コスモ・ドライブが可能になった。 『物体の運動加速度から生じる慣性力は、重力と同等のはたらきをもつ』 この等価原理で、加速度から人工重力を生む。地上と同じ1Gとなるように、宇宙船は等加速度飛行をする。 火星に到達する頃には、光速度の3.9%にも達する計算だ。遠心力を利用した既存の重力発生メカニズムより優れ、船内すべての場所に一様な重力場が生成される。 SSアーク号は、最大面積の天井面を進行方向に向けて横に飛ぶため、逆の床面垂直下方向に慣性力が働く(これが人工重力となる)のである。空気などの流体抵抗が無い宇宙空間ならではの飛行姿勢だ。 地球上で見慣れた飛行物体の常識からすると、縦長の箱が横向きに飛ぶ姿はとても奇妙に映ることだろう。 ===以上、ログアウト ◇◆◇ ★ ★ ★
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