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「吾輩は、あの世でも、覗いたような気分だよ……」
博士は後頭部に掌を当て、何度も首を傾げながら驚きを声にした。
「……ストームの通過直後、ここへやって来て……」
「さすがわ、天文博士。何をご覧に?」
私は合いの手を入れた。
「なんとも、この宇宙が、ひっくり返った、みたいだよ?」
「それは無理もないですよ。超加速から急反転、減速したん ですから」
「いやいや、減速する前からだ。……ちょうど等速航行。……そう無重力に、変わった時から」
「それなら、ストームが去った直後ですね?」
「そうそう、その時……。この展望室に戻るや否や……」
博士の目を見ると、未だに興奮覚めやらぬといった様子だ。
「……なんと、星々が、一瞬にして、一斉に移動したのだよ」
「何ですって?」
私も少し驚きと興奮を覚えた。
「天球面で見ると、僅かな移動だが。……例えば、今、あそこにあるアンドロメダ座のM31だが」
「有名な大星雲ですか?」
「そう、それが、ストームが襲来する30分前には、隣のペガサスの頭上に、あった筈なんだ」
「えっえー? それは、信じられない!」
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