《Chapter-06》 Strange

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「天体が専門の吾輩だからこそ、信じられないことなのだよ」 「もし、それが事実なら……、空間の瞬間移動『ワープ』ですか?」 「そうなのだよ。鋭いね、キャプテン!」 「宇宙船が、別の宇宙まで、空間移動したか? 我々の太陽系自体が、一瞬にして移動したか? なんだ」 「太陽系が移動? ……ええっ?」 私は、博士の突飛な説明に、自分の耳を疑った。 「それもある。我々の太陽系は、銀河系の外縁を、数億年程かけて、一周しているからね。……でも、それには速すぎるから、考えにくいが?」 「それなら、前者の可能性が?」 「しかし、ここは我々の太陽系内だ。小惑星帯(アステロイドベルト)付近かも? スターマップで確かめた」 「うんん。何とも不思議ね? 火星を飛び越えたのでしょうか? ……ソーラーストームのせいで、何かが、狂ってしまったのかしら?」 隣のケイトは、腕をこまねいて小首を傾げた。 「実は博士、有視界モニターに、謎の天体が現れたんですよ。……なっ、ケイト?」 「はい。スターマップには無い、未知の天体です」 ケイトは魅惑の瞳を、より大きく見開いて頷いた。 「それは……、あれかね?」 フォレスト博士は、クリアービューで広がる天球の一点を指差した。 私は、「はい」と答えたつもりだが、声にはならなかった。 暫らくの間、私たち三人は呆然と、大天球のパノラマに浸るのだった。
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