《Chapter-02》 Introduce

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《Chapter-02》 Introduce

◆◇◆【宇宙日誌】西暦2201.4.16 ログイン⇒ 出航時の慌ただしい儀式も一段落した。 時間的にもゆとりが出てきたところで、SSアーク号が処女航海に出るまでの経緯と、移民団の編成や自慢の新型スターシップについて、記しておきたい。 やや説明的になる上に、話しも長くなるので、予め承知おき願いたい。 なお、今回のBGMは、シンセサイザーが奏でる清涼感溢れるサウンドが、心に沁み渡るインストゥルメンタル曲、♯Cosmic Sea ♪ をチョイスした。 それでは、暫しの間お付き合いを……。 西暦22世紀後半の地球――― 大地は、放射能による生態系汚染が深刻になっていた。 原子力という人類最悪の火道具は、無知なる幼児の火遊びと等価だ。これぞ新たな等価原理かと、皮肉混じりにジョークを飛ばす、科学ジャーナリストもいることだろう。 事の発端となった『20世紀』は、私の大好きな時代でもあるが、天使と悪魔、二つの顔を持つ。 科学技術の発展は、最大にして最速の進歩を遂げた繁栄期であったが、有史以来最悪となる殺戮の歴史の時代だった。 愚かなる人類は、戦争に勝つために急激な進歩を遂げた歪んだ科学力を誇示した。科学技術が未熟な時代に、理論先行型の科学形態が悲劇を生んだ。 特に核開発への不安は、何十年にも亘り途絶えることはなかった。21世紀を迎えても原発事故の後遺症は勿論のこと、核兵器の廃絶運動の成果は実らず、核分裂の如く負の連鎖は止まらなかった。 そして、22世紀に入ると悪魔の所業は輪をかけて益々酷くなった。 凍結されていたはずの原子力発電所は密かに稼働し、テロの標的となった。更には、核弾頭の残党が、悪魔の手先と化したテロリストたちの手に堕ちた。 小型原爆も使用された世界同時多発テロから悪夢は始まり、その惨状は、詳細を語るに堪えない惨劇。北半球の大国は壊滅状態に陥ったのである。
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