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であいの日
砂の山を崩す。払って、蹴って、踏みつけて、壊していく。ドラゴンがそうするたび、空に白い砂が舞い上がって、世界には一瞬、真っ白な夜が訪れるけれど、それに困る人はいないし、それで住処を追われる動物たちもいない。
この世界は、死んでいる。この星で命と呼ばれる存在はドラゴンだけ。そうなってから、いったいどれくらいの夜が過ぎ去って、どれくらいの昼が訪れたのか。……わからないほど、遠い昔、世界は滅んだ。
だからドラゴンは、一人遊びを繰り返す。遊び相手は砂だけ。この星の全部は砂になったから、この星の全部がドラゴンの遊び相手だ。
砂の山を崩して遊ぶのにも飽きて、今度は砂の山を掘り始める。鋭い爪をちょっと曲げて、爪の先に砂を引っかけるようにして、少しずつ掘っていく。ドラゴンの手は大きいから、こんなやり方でも、けっこう深く掘れる。そのままひたすら、掘り進め、ふと、爪の先が何かに当たった。
(なんだろう?)
ドラゴンはさらに掘り進める。爪の先に当たったものの周囲を掘り進めているうちに、それの全貌が見えてくる。
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