第二章 サッカーラ・キャラバン

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「水と食い物買って来っからよ。戻ったらいつでも発てるぜ。いつ発つかはオメーに任せるからな、雇い主サマ」  ルシアも立ち上がった。彼女は、ジンが鏖殺の地から持参した麻袋に手を延ばす。 「待って、ジン君。あなたはまた鏖殺の地から遺物を持って来てくれたのでしょ? もっと明るいところで見せて下さいね」  そうして、ジンとルシアは、この幕屋を出て行った。  続けて、ネウィルも腰を上げた。彼は緑の兜を被りながら、淡々とした口調でメルに告げる。 「俺も水を買い足して来る。すぐに戻るから、メルローチェは待っていろ」  「あ、ネウィル」 「大丈夫だ。すぐに戻る」  それだけ言って、甲冑に身を固めたネウィルも幕屋から姿を消した。  ぽつんと幕屋に残されたメルは、はあ、とため息をついて円卓に突っ伏した。  ……やっぱり、まだネウィルは怒っているのだろうか? いや、逆にどこか無関心ぽく思えて、心配されないのも何だか寂しく思えてくる。  うだうだと思い悩むメルの耳に、柔らかな苦笑が聞こえた。  はっと身を起こすと、長衣の袖を掻き合わせたルシエが、微笑ましげにメルを見ていた。 「あ、ヤダっ、ルシエさん」  短く口走って絶句するメルに、ルシエがもう一度苦笑を洩らして、肩をすくめて見せた。     
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