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次の日目覚ましの音に飛び起きて、ばたばと準備すると、お母さんに言ってコーヒーに入れる砂糖の小袋を分けてもらい、水筒にお茶を入れ、自転車に飛び乗った。朝からセミが鳴いている。今日も夏の空は晴れ渡り、遠くの空にもくもくと雲を立ち上らせていた。
予定より早めに着いたぼくだったのだけど、もうミノリは地面にしゃがみ込んでいた。昨日とは違い縁のついた麦わら帽子をかぶって、目がチカチカする黄色いTシャツにデニムの短パンという出で立ちだった。
ぼくが息を切らしながら自転車で近づくと、ふり返ってにこりともしないで「おはよ」と言ってきた。
「はぁ、おはよ」
「砂糖持ってきた?」ミノリが大きな目で急かしてくるので、ぼくは背負っていたリュックを手に取った。青いリュックは背中が当たっていた部分が濃く変色している。ファスナーを開けるとビニール袋に入ったスティック状の砂糖の束を取り出した。
「角砂糖じゃないんだ?」
「そんなこと、言われてないし」少し収まってきた息切れの中であえぐように声を出した。
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