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「あんなもの、宿題を渡された日に終わらせたわ」もうミノリは目も上げない。
「何読んだの?」
「今回はミヒャエル・エンデの『モモ』にしたわ」彼女はよく分からない横文字を並べた。
「外国の本?モモって果物のこと?」
「果物じゃない。主人公の名前よ」
「読みやすいの?」ぼくは自分の読んだ『ナゲキバト』を思い出しながらたずねた。
「児童文学だから。子どもなんだしそっちの方が良いでしょ」
「…どういうこと?」
すると彼女はため息をついて立ち上がると、ぼくに向かい合った。
「北村くん、帰らないの?」
「か、帰るけど…読書感想文てどうやって書くのかなって」そう口にしたとたん、とてもはずかしい事を聞いている気がして耳が熱くなった。ぼくはミノリの大きな目から顔をそむけた。
「読書感想文の書き方?何でそんなこと聞くの?あたしが本の虫だから?」
その言葉に思わず目を上げた。ミノリは冷めた目でぼくを見ていた。
「お昼くらいにここを通り過ぎながらそんなこと言ってたでしょ。まぁ学校でも皆言ってるみたいだけど。それってどれのこと?」
「…どれ?どれって何のこと?」
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