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「本の虫の話でしょ。代表的なのが3種類くらいいるじゃん。どれのこと?紙魚?茶立虫?それとも死番虫?」
「本当にいるんだ?」初めて知った。
「…知らないの?」ミノリはまゆをひそめた。「知らないものに人の事例えてたの?失礼ね」
「いや、その…ごめん」
「…まぁいいや。それで感想文の書き方だっけ?」
「そう。いつもよく分からなくて」
ぼくはいつも悩んでいる点を伝えた。
「ふーん。北村くんて、何で宿題があるか考えたことある?」
「え…宿題全体の話?読書感想文だけじゃなくて?」
「だけじゃなくて。じゃああたし帰るから」
「え!ちょ、ちょっと」突然そんなこと言われても、話は何も進んでないけど!
「北村くん、明日ヒマ?」
「まぁ、ただの夏休みなだけかな」
「そう。じゃあアリの観察手伝ってくれる?」
「…読書感想文の話は?」
「等価交換って知らないの?無料で教えてもらえるなんて図々しいじゃない。書き方教えてあげるから明日手伝って」
「…分かったよ。でも、今じゃないの?」
「もう夕方よ。暗くなるじゃない。真っ暗な中で北村くんとアリの観察なんて、ロマンチックでも何でもないわ。第一アリなんて黒くて見えないし」
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