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「マンションじゃなくて家に帰る」
宇賀神は、運転席にそう声をかけた。
前席の二人は短く了承の返事をするだけで、後は空気のように気配を消している。
宇賀神が溺愛する「姐さん」との時間を邪魔されることを何より嫌がるのを知っているからだ。
川嶋のあまりにも艶やかな喘ぎ声に反応しそうになる身体を、宇賀神の恐ろしい眼光を思い出すことで必死に堪えていた可哀想な二人は、ようやく苦行から解放されることに、密かにほっと胸を撫で下ろしていた。
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