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Intro 廻り廻る運命の輪
一歩足を踏みだせば着地するまでに気を失い、気がついたときには別世界が広がるといわれる、断崖絶壁のそこからは、森の壁が立ちはだかる遥か遠くまで一望できる。
別世界というのは、その麓にある樹海からなかなか抜けだせないためか、それとも死を経た、本当に別の世界があるのか。
もっとも、死という果てを知らない自分の身が死の向こう側に逝けることはなく、麓の樹海を住み処としている以上、一歩踏みだしても別世界などない。
あるのは躰が回復するまでの痛みのみだ。
それを経験していても、この場所に立つのは気分がいい。
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