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凪乃羽が云ったことはなぐさめになったのか、ヴァンフリーの口もとがかすかに緩む。
「ロードも完璧じゃない。無数の戦士を束ねる指揮官として君臨したローエンがそうだったように」
「ロード・タロはどうして力を手放したの?」
「まえに云ったが、永遠だから退屈だということにはならない。だが、それが“独り”では無聊の極み、永遠のさまよい人だ。ともに歩むものが見つかったとしてもそれは一時で、人は死から逃れられず、その死を見届けるしかない。永遠から死はけっして届かない場所にある。見捨てられたような気にもなるだろう」
「そういう思い、ヴァンも経験したことあるみたい」
「ああ。ウラヌス邸を建ててから日はまだ浅いが、セギーの一族との関係は遥か昔から続く。数知れず、死を見届けてきた」
幾度、死に別れを重ねても慣れることはない。
ヴァンフリーの声がそう物語っていた。
永遠とは切ない。
そんなランスの言葉を思いだしながら、凪乃羽はヴァンフリーの膝に手を置いた。
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